社団法人塩釜青年会議所 2012年度理事長所信
第37代理事長 原田 尚樹
~一人ひとりが凛然と行動しよう、かけがえのないまちの再生のために!~
先人たちが今まで積み上げてきた歴史、地域のたから、コミュニティが一瞬にして大きく失われてしまった今、それを取り戻し、新しい歴史を築いていくために我々青年に与えられた使命は大きい。絶望感にさいなまれた市民が徐々に自立に向かい進んでいる今、社団法人塩釜青年会議所は誰のために、何のために活動しているのかをあらためて考える転換期にきている。
はじめに
2011年3月11日は忘れることのできない日となりました。その日まで誰もこのような災害が我々の地域に甚大な被害を与えるとは想像しませんでした。そのような状況でも我々はJayceeとして、何をすべきか考え、できる限りの支援活動を連日行なって参りました。中には自らが被災していながらも、できる範囲だけでもと活動しているメンバーもいました。まさに利他の精神でありました。私はこのようなメンバーを誇りに思います。我々の歴史は36年前に、この愛する地域をより良くしようとする諸先輩方により大きな第一歩を踏み出しています。今まさに先輩たちの志をあらためて受け継ぎ、再び自立しようとしている地域のために、己を律し、行動するJayceeとして、かけがえのないまちの再生のために新たな一歩を踏み出します。
新たなまちづくりのために
地域の幸せとはどのようなものでしょうか。私たちは「明るい豊かな社会」を築くために、日々運動を展開して参りました。壊されたまちをもう一度造るために我々の運動は今までと同じでいいのでしょうか。元の生活に戻すためには同じまちに戻すのではなく、更に進化したまちにしていくことです。時代は進んでいます。今までと同じでは、変わらないことではなく停滞していることと同じです。地域のために、今までと「変わらないために変わる」のです。
社団法人塩釜青年会議所には「塩竈みなと祭陸上パレード」、「みなとのまち100km徒歩の旅」「アラハバキの灯」といった継続事業があります。継続事業には今まで関わったすべての人の思いが詰まっています。同じ事業をしていくのではなく、時代に即した事業にするために進化させていかなければなりません。今まで事業に携わった諸先輩方の思いを受け継ぎながらも「変わらないために変わる」を信条としていきましょう。またいずれの事業も市民と行政としっかりと連携し声を聞くことが重要で、それにより本当に市民に求められる事は何かを理解することができます。答えは現場にあります。まずは青年らしく、はつらつと行動することです。
しかしそのためには己を更に高める必要があります。自分の担いを受け、時にはまっすぐ、時には俯瞰して物事を見る目を持つことで、より多角的に事業が展開できます。さらに誰のために、何のためにこの事業を開催するのかを深掘りし、考えていくことで事業を新たな方向に進化させることができます。本当に地域に求められる運動を展開するために、青年会議所メンバーが己を律して行動してこそ「まちづくり」「ひとづくり」「青少年育成」を推進できます。我々にとってかけがえのないまちの再生のために、そしてこの被災した地域から復興の灯を掲げることで日本をはじめ世界中に元気を発信しましょう。
一人の大人として
今回の震災により社団法人塩釜青年会議所も多くの仲間が被災しました。会社、自宅が津波にあい甚大な被害を受けたメンバーもいます。我々はJayceeですが、家庭人であり青年経済人でもあります。社会の最小単位は家族であり、経営者であれば自分の会社です。その自らの足下を、しっかりと固めていかなければなりません。今回の震災により我々の地域の経営環境は一変しました。この激動の時代に青年経済人として自らの生業を見つめなおす大きな岐路に立っています。そのためには地域に必要とされる企業でなければなりません。企業経営は誰のために、何のために行なっているのかを見つめ直すことで企業の本質に立ち返る事ができます。そうすることで、この厳しい経済情勢、経営環境の中でも地域に根ざした企業として柔軟に対応し、発展させていくことができます。青年会議所は地域を見つめるとても重要な機会を与えてくれます。地域に求められていることを本気で考え、市民、行政と手を携えてJC運動を展開していくことで普段の企業活動では見失いがちなものを見つめ直すことができます。
また一人の大人として家庭を愛し、会社を愛し、地域を愛することが大切であり、そのような考えの大人が増えればコミュニティも復活し、活力の溢れる地域になります。今の日本を考えるとき、まずは地域を愛し行動すること、それがひいては日本を愛し行動することに繋がります。そういった意識で大人として自ら覚悟と誇りを持って行動をすることで、必ずやこの日本に奇跡が訪れるでしょう。
またこれからの日本の未来は子どもたちがつくります。子どもたちは常に我々大人たちを見ています。そういった子どもたちに自分の背中をみせることが教育であります。己を律しながら行動する大人の背中を、我々は子どもたちに常に見られているということを自覚しながら、一人の大人として日々の生活をしていくことが重要です。
全国の同志たち
青年会議所には日本全国に約700の青年会議所から構成される会員が40, 000名おります。
多くの高い志を持ったメンバーが出向という形で様々なステージで活躍しております。我々の所属する社団法人塩釜青年会議所だけでなく、宮城ブロック協議会、東北地区協議会、日本青年会議所、国際青年会議所に出向する機会が与えられ、それぞれの立ち位置でのJC運動を実践することができます。全国にはすばらしい仲間が沢山います。同世代でありながら広い視野と知見を持ち、さらに己を高めるべく様々な立場、ステージで活躍しています。そういった中で各地から集まった多くの同志たちと研鑽を積むことで、個人の修練になり、社会への奉仕の心、世界中の仲間との友情を育むことができます。
震災発生直後から、全国の同志たちより本当に多くのご支援をいただきました。青年会議所は世界組織であり、また全国組織であり、そして志を同じうする者の集まりです。ニュースを見ていた全国の同志が、我々の活動エリアで甚大な被害が出ているということで本当に早い段階から物資を届けていただき、さらに支援活動にもおいでいただきました。あらためて青年会議所のネットワークの素晴らしさと、全国の仲間の熱い友情を感じました。今回いただいた支援も、多くは出向で友情を育んだ同志たちからでした。絆で結ばれた熱い気持ちを持った仲間が、本当に自分を省みず支援活動においでいただきました。全国にこのような同志ができる機会をぜひ多くのメンバーに感じていただきたいと思います。しかし与えられるだけではこのようなチャンスは活かしきれません。積極的に出向に向き合うことによりつかめるものであります。そして出向で得た自分の経験、仲間という財産が、ひいては塩釜JCの財産に繋がります。2012年度も出向で多くのチャンスをつかみましょう。
また非常に厳しい経済環境ではありますが、会員の増強は我々の基本運動の一つです。多くの志と気概を持ったメンバーで運動を発信することで、我々の意識は市民に届きます。地域の発展に寄与したいと本気で考えている志の高い人材はまだまだいます。一緒に切磋琢磨していくことで、我々も更に高い意識で行動することができます。また社会の半分は女性です。その声を取り入れることで、我々が市民を巻き込み、地域に求められる運動を展開するためにも、女性会員の増強は必要です。数は力になります。我々が多くの会員で地域の青年として凛然と行動することで、地域から求められ必要とされる団体となり、かけがえのないまちの再生のために運動を展開することができます。
公益法人=公の利益として
2008年12月、新公益法人法が施行され、2010年に日本JCは公益認定を受け「公益社団法人日本青年会議所」となりました。社団法人塩釜青年会議所も、2011年度取得へ向けて取り組んでおりました。しかし震災の為、公益申請を断念せざるをえない状況となりました。今年度はなんとしてでもその思いを受け継ぎ、公益法人取得を目指します。その為には、己を律し研鑽を積みながら、地域のリーダーとしての自覚を持ち、地域から求められている