青年会議所(JC)は「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」を活動の基本に、「明るい豊かな社会を築き上げる」ことを共通の理想とし、「英知」と「勇気」と「情熱」をもった青年有志による集まりである。
常にチャレンジし続けることで、自分自身に刺激を与え、共に向上し合いながら成長し続ける。己が成長することによって社会に貢献し続けられる人間となり、この愛する地域を、延いてはこの日本を元気にする原動力となる。これらをさらに飛躍させることが地球に、地域に生かされている我々、青年としての使命である。

はじめに

1975年、愛する我が地域(まち)をより良くしようと塩釜青年会議所は約30名の会員と共に記念すべきその大きな第一歩を踏み出しました。「ひとづくり」「まちづくり」「教育」「国際社会」それ以来、現在まで「環境」など様々な分野において、青年としての正義感と理想を追求するその心を携え、真摯な情熱という価値観のもと、積極的に社会に関わってきました。それぞれの時代で人が変わり、手法や表現は異なっても、創始の「志」は脈々と受け継がれ、三十数年、百数十名の「英知」と「勇気」と「情熱」がその精神と運動を今日へ繋げながら、その年代記は綴られ続けています。
今から10年前の2001年、近未来的希望に満ち溢れた21世紀の扉が開かれました。それから10年、私たちは昨年2010年代という新たな時代の幕開けに立ち会うことができました。私たちは今ここで10年先の2020年を見据えた新たな時代のキーワードを「自立」と「共助」とし、いつの世も時代に頼られる青年会議所(JC)である為に、大きな一歩を今ここに踏み出します。

幸せの見える地域づくり

この地域における「明るい豊かな社会」とは一体どのようなものでしょうか。私たちが理想とする「まち」の姿はどのようなまちでしょうか。青年会議所(JC)は、自分たちが生まれ育ち、あるいは自分が暮らす「まち」を愛し、その発展に貢献する事業・運動を様々な形で行って参りました。これからの時代、「まち」をさらに発展させていく為には、これまで以上に自らが暮らす地域を深堀りし、そして何よりも自分たちの「まち」を愛する心が大切になってきます。
(社)塩釜青年会議所には「塩竈みなと祭陸上パレード」、「みなとのまち100km徒歩の旅」といった継続事業があります。継続事業には歴史があり経験と実績、その事業に関わった全ての方々の思いがたくさん溢れています。大切なのは「まち」を愛する心、事業を愛する心とその溢れんばかりの思いと意志を受け継ぎ、そして時代とともに進化させていく事です。この地域に育てられた青年として、市民・行政・他団体とより多く語り合う事で、「明るく豊かな地域社会の将来像=夢」が現実のものとなります。
地域社会でのコミュニケーションの希薄化や様々な問題が取り沙汰されるなか、今、地域社会が必要としているのは、「ひと」と「ひと」とのつながりを大切にし、互いに助け合うことのできる「まち」の創造です。そのために私たちは、市民相互の架け橋となり、そして社会とを結び付けていくことで、市民が社会に対し喜びや生きがいを感じることもでき、子どもたちを地域全体で育てることができる健やかなる環境を創ることができるのです。今年度も地域の成長に繋がる感性価値の創造と地域の活性を目指した「ひとづくり」「まちづくり」を推進して参ります。

青年経済人として

私たちはJayceeである前に家庭人であり青年経済人であります。我々のとりまく情勢や環境は、ますます厳しさを加え、その中で企業経営を維持し発展させて行くには並大抵の事ではありません。近年この厳しい経済情勢下、企業経営の悪化に伴い幾人かの同志が(社)塩釜青年会議所から去りました。経営者の責任と役割とは一体どのようなものなのでしょうか。企業経営を考え進めていく上で、経営者・リーダーである以上、いかに環境が厳しくとも、時代の変化に柔軟に対応し、企業経営を維持し発展させる責任があります。経営者は常に正しい判断と選択をしなければなりません。社員とその家族が路頭に迷うことなく幸福な人生を送るためには、一時的な繁栄や急成長ではなく、常に安定的な「継続」が大前提です。一部の拝金主義的経営者は「正しくない経営」を「バレないだろう」と、自分が逆の立場だとしたら、到底認めることができない口実を並べ立て、自身の保身を図ろうとします。「継続」という視点は、損得か善悪かという視点に立ち返れば、おのずとその企業の結末は見えてきます。また企業経営には宇宙規模でのプラスの側面とマイナスの側面が両立していることを認識しなければなりません。一つのGPS用ロケットを打ち上げれば、生活する上での利便性は向上しますが、反面ロケットの燃料系統部分が切り離されたとしたならば、それはまぎれもなく宇宙のゴミとなります。車にしてみても、利便性が高い優れた乗り物である反面、人を意図も簡単に殺めることができる凶器にも変わりうるのです。その相反する矛盾のなかで企業活動は行われている事を認識しなければなりません。化石燃料の大量消費によるCO2問題、食糧危機、異常気象。そして世界中で自然災害が多発し地球は悲鳴を上げながら泣いているようにさえ感じます。
私たち青年会議所(JC)は、どのようにして地域市民の利益の増進を図り、国の発展、世界の繁栄と平和に寄与する運動を展開すればよいのでしょうか。その為にはまず何よりも、私たちが不断の自己研鑚を通じ、青年経済人として自らを律し、経営者としての資質を向上させ、損得よりも善悪という判断基準のもと、企業経営に磨きをかけながら、日頃よりお世話になっている地域社会に貢献し続けるということが大前提となります。
私たち青年経済人が、自らの企業を、地域から誇りの持てる、必要とされ当てにされる企業になることで、地域経済への貢献と発展に繋がって行くのです。地域経済の発展なくして、青年会議所(JC)の発展もありません。その為に私たちは青年経済人としての足元をしっかりと見据え、元気で活力のある企業づくり、地域づくりに取組んでいかなくてはなりません。中小零細企業の復活による地域の活性こそが、これからの地域力再生の鍵となります。私たちには、利他の精神をもって、地域ごとの歴史や風土の中で培われた資源を有効活用し、特色ある地場産業を創出・活性化させ、地域特有の豊富なソフトパワーを活用した地域経済活性化を図り、「自立」した豊かな「まちづくり」の推進を行う使命があるのです。

青年会議所(JC)が与えてくれている機会

青年会議所(JC)には、高い公共意識を持った青年経済人が、全国津々浦々に存在し、そしてそれぞれの地域のリーダーとして活躍しています。これまで青年会議所(JC)は708のLOMと40, 000人の力を結集させ、さまざまな協働運動や連携推進運動を力強く展開して参りました。
私たちJayceeには宮城県内をはじめ、東北、日本、そして世界各地に友人をつくる事が可能な機会が与えられています。所属する(社)塩釜青年会議所だけでなく、宮城ブロック協議会、東北地区協議会、日本青年会議所、世界の青年会議所に「出向」する機会が与えられ、それらは異なった大きくて広いステージでのJC運動を実践することができます。
出向とは、所属する青年会議所(LOM)とは違った環境下で活躍するJayceeの人材育成とネットワークの構築をするためにあるシステムです。青年会議所(JC)という志のもとに、普通では考えられないネットワークを構築する事が可能です。このネットワークに積極的に参画し、ネットワーク内での責任を確認すると共に、「個人の修練」「社会への奉仕」「世界との友情」を築き上げて行く事が出向の醍醐味と言えるでしょう。
出向という、より大きな広いステージで自分を磨くという事が、個人(Jaycee)の財産となり、ひいては(社)塩釜青年会議所(LOM)の財産となりうるのです。宮城ブロックや東北地区、日本JCにはすばらしい人材や特異な能力を持った人材、グローバルな視野を持った人材がたくさんいます。また、出向とは異なりますが、自分と同じ業種・業界、同じ職種を持った人が集う「業種別部会」も存在します。そのような環境に飛び込む事で、自分を飛躍させながら己を磨く機会が私たちには平等に与えられているのです。出向とは、個人(Jaycee)の人材ネットワークづくりにおいては無限の可能性を秘めているといっても過言ではありません。
青年会議所(JC)では積極的変化を創り出すために必要な、指導力の開発と社会的責任及び友情を深めるために、地球社会の発展に寄与する事を目的とした4つの機会、「個人の機会」「地域の機会」「ビジネスの機会」「国際の機会」が与えられています。これらの機会は何ら特殊なものではありません。また受動的に学べるものでもありません。Jayceeが自ら掴みに行かなければ学べない機会です。機会とは、CHANCE(チャンス) ではなく OPPORTUNITY(オポテュニティー) です。偶然だとか、棚から牡丹餅だとか、LUCKYで手にしたりするものではなく、誰もが平等に与えられたものであり、自らが手を伸ばして取りにいけるということです。その機会を活かせるかどうかは自分次第です。
2011年度、自分のため、仲間のため、地域のため、(社)塩釜青年会議所(LOM)のために出向というより広大なステージへの一歩を踏み出しましょう。

公益法人=公の利益として

2008年12月、新公益法人法が施行され、2010年6月24日に日本JCは公益認定を受け「公益社団法人日本青年会議所」となりました。
(社)塩釜青年会議所は2009年プロジェクトチームを発足し公益認定取得へ向けて取組んで参りました。その結果を2011年、なんとか形にしたい、そう願っております。しかしながら、公益法人取得の本来の目的は「取得すること」ではありません。公益法人を取得する段階で、愛する我が地域(まち)の「公の利益」をとことん追求し、「公の利益」となる事業の画をしっかりと描ききり、公益法人取得申請に必要な雛形を上手に活用しながら事業計画を立て、地域のためになる、地域から求められる運動を展開していく事で、真の意味での公益事業となっていくのです。地域のリーダーとして自らを厳しく律し、青年の真摯な情熱を結集させ、よりよい社会づくりを目指すことを目的に組織された公益団体、その団体こそが私たち(社)塩釜青年会議所のあるべき姿です。

「自立」と「共助」のバランスが取れた社会

「自立」と「共助」。これは私たち青年会議所(JC)が、2010年代の運動を通じて「明るい豊かな社会」を創造しようとする際の課題であり、これからの時代の問題解決の鍵であると捉えます。
驚異的な経済成長と科学技術の発展を経て迎えた2010年代。私たちは豊かさや利便性を実感できるようになりましたが、しかしながら他方、貧富の差、少子高齢化問題、国・地方の借金はかつてないほど膨れ上がり、持続可能性が危ぶまれる水準にまで至っています。
公益の実現を目指すためには、まず私たち一人ひとりが地域の青年経済人として、本分である企業経営に磨きをかけ、企業の社会的責任を果たしながら、正しい納税を通し、地域社会や国家への貢献を果たさなくてはなりません。その為にも私たちひとり一人が自らを磨き続け、自己研鑽を通じ「自分を律し、そして他が為への貢献」とする真の「自立」を確立する事が必要です。そしてローカル・コミュニティーの中で「自立」した「まち」が、地域と市民とが相互に助け合う豊かな「まちづくり」を促進させ、行政サービスの一担い手として、地域に対する「共助」として、地域に根ざした公益活動を展開し、バランスが取れた社会にしていく必要があります。
私たちは「英知」と「勇気」と「情熱」溢れる青年です。これからの時代の真の民主主義を磨く喜びを共有しながら、地域の魅力や問題解決能力を高めるためにリーダーシップを発揮し、幅広い視野・視点から周囲に影響を及ぼして参りましょう。公益を創出し続ける青年会議所(JC)、そしてJayceeであるために。

生かされている存在

自分は何者なのか、何のためにこの世に存在し、この限りある命があるのだろう。人は自身の人生という事業を全うしなくてはならない。命を生かすとはまさに人生という事業活動を行うことです。森羅万象あらゆるエネルギーを交換しながら気づき、学び、生きぬいて行く。人はいろいろな人と関わりながら生かされて、そして様々なエネルギーを交換しながら気づき、学び、互いに認め合いながら生きています。自分の弱さや未熟さをきちんとパズルを埋めてくれるかのようにフォローしてくれる人がいるから人は生きて行けるのです。温かさ、感動、勇気、自信、やりがい、そして使命感。いつも埋めてくれて本当に「ありがたい」限りです。
「物の豊かさ」から「心の豊かさ」が求められて久しいですが、本当の「豊かさ」とは何でしょうか? お金持ちが必ずしも心豊かな暮らしが出来ないとすれば、どうすれば心豊かになれるでしょうか。心とは、心に「潤い」や「安らぎ」を与えてくれるのは、「楽しくしようとする人の意識」「幸せ感を求める人の意識」、「心のありよう」そのものなのです。人は心豊かに生きようと努力しなければその豊かさは得られません。本当の豊かさにはその人の「心」とその廻りの「環境」の両輪が必要なのです。(社)塩釜青年会議所は「地域の豊かさのお手伝い」をするものであります。
私たち青年が今の時代に求められているのは、地域に生かされていることに感謝し、その地域の為になる、始めの大きな一歩を踏み出すこと、今すぐ地域のリーダーとして行動を起こすことです。地域のためになる、地域の人たちのためになる運動を展開し続け、やがて社会のため、世界のため、地球のために繋がっていくと信じて一歩一歩着実に努力し続けて行くこと。「恒久的世界平和の実現」と「明るい豊かな社会の実現」を目指し、歩み続けることです。もし未来の光が見えないのならば、私たちがその光になれば良いだけなのです。私たち青年が自らその光を放ちこの激動の時代の中、胸を張ってJC運動を積極的に展開することこそが、常に時代に頼られるJCとしてあり続けることなのです。今こそ創始の気概を取り戻し、「英知」と「勇気」と「情熱」を携えて、新たなスタートを切りましょう。

飛躍する方向性を定め準備をしていたのが2010年であるならば、それを礎に大きな飛躍を果たす時が2011年。そして2010年代運動指針を受けて現実感溢れる確かな一歩を踏み出す年も2011年。未来を拓くのは私たち(社)塩釜青年会議所 。愛する我が地域(まち)を思う同志として、人生を共に歩める事に感謝し誇りに思う。2011年、未来への光を放ちながら更なる飛躍へ向けて、共に大きな一歩を踏み出そう。