公益社団法人塩釜青年会議所 2014年度理事長所信
公益社団法人塩釜青年会議所
第39代理事長 伊東清人
1975年「明るい豊かな社会」の実現を目指し、塩釜青年会議所は志高き諸先輩方によって大きな第一歩を踏み出しました。38年間途切れることなく、愛する我がまちの発展を描く素晴らしい運動を展開し、今日まで紡ぎ繋いでいます。我々青年世代は、未曽有の震災「東日本大震災」を体験し、厳しい環境を経験しました。「震災後」と言われる時代が今まで以上に、「明るく豊かな」ものとし、意気あふれ、活気に満ち溢れたまちを創造しなければなりません。“今”JAYCEEとして自己を磨き行動することで、次世代へ、明るい未来へと繋げて参りましょう。
【はじめに】 2011年3月11日14時46分、マグニチュード9.0の大きな地震、その数時間後に押し寄せてきた大津波。これによって車や家屋が一瞬にして巻き込こまれ、我々の活動エリアでも数百名の尊い命が奪われました。荒れ果てたまちは、沿道で大粒の涙を流し茫然と立っている市民や無言でガレキを撤去している人々の姿が今でも目に焼き付いています。そのような状況の中、発災直後よりいち早く青いジャンパーを身に纏い、給水活動、炊き出し、ガレキの撤去など、自ら被災しながらも率先して被災した方々の為に活動している塩釜JCメンバーの姿が見られました。私自身も被災してしまい、初動の支援活動には参加が叶わず、もどかしい気持ちで日々を過ごしていた事が忘れられません。彼らの行動は、同じ塩釜JCメンバーとして本当に心強く、誇りに思います。そんな仲間と共にJC運動「明るい豊かな社会」の実現を目指して活動できることに感謝し、新たな一歩を踏み出します。
【“ひと”として・JAYCEEとして】 我々が所属する青年会議所(JC)は、JC三信条(修練・奉仕・友情)をもとに、日々活動に取り組んでいます。JC活動を通じて、自己を磨き(修練)、培われた力を用いて地域に提供(奉仕)し、その中で生まれる(友情)を育みます。そして、一人の大人として自分の住まう地域を見つめながら、地域から必要とされる運動を発信していかなくてはなりません。意気あふれ、活気に満ち溢れたまちを目指すにあたり、一人ひとりがJCと真摯に向き合い、活動を通して自らを鍛え成長することで、素晴らしいまちを創造する原動力になるという事は間違いありません。そのためには、まず青年経済人として、自らの仕事を疎かにしては本末転倒です。青年経済人、企業経営者として、足元をしっかりと固めて、青年会議所で学んだ事を最大限に活かし、全力で取り組んで頂きたい。家族から社員から認められ、求められる“ひと”になることが、家族の笑顔、社員の幸せ、ひいては地域経済の成長に繋がると信じています。
昨今、全国的に会員は年々減少し厳しい環境ではありますが、会員の増強は我々の基本運動の一つです。まだ出会っていない志高き青年は、必ずこの地域に存在します。その青年たちを仲間に加えて、「明るい豊かな社会」の実現を目指します。我々は、自分に対して地域に対して、決して後ろめたい活動をしているわけではありません。「自らを律し、そして他がためへ」という精神で意欲的に地域貢献活動に参画しています。塩釜JCに入会して、今日までに経験したこと、体感したこと、習得したこと全て自分の言葉で自信を持って伝えましょう。必ず、あなたの思いのこもった力強い言葉は、相手の心に響き届くはずです。彼らの最初の一歩を踏み出す勇気を、塩釜JCメンバーとして手を差し伸べましょう。そして、生まれ育った大切な地域だからこそ、JC基本運動の一つである会員の拡大に積極的に取り組み、一人でも多くの同志が集い、新しい力と共にこの地域に熱意溢れる運動を展開しましょう。
JCは40歳までという限られた時間を共有し、互いに切磋琢磨し、刺激を受けながら“ひと”としての魅力を高めていく団体です。その魅力を高めながら、愛する大切な地域にJC運動をより進化させ、今まで以上に多くのJAYCEEで「行動」に移し、意気あふれる、活気に満ち溢れたまちを共に目指します。
【全国の仲間たち・JCのスケールメリット】 JCは、日本全国698の青年会議所、約35,000名の会員がいます。「志同じうする」者が、それぞれの地域で「明るい豊かな社会」実現を目的に運動を展開しています。この組織は、全国10地区、47ブロックの協議会を通じて繋がっており、それぞれ所属する青年会議所からの出向によって運営されています。我々も平等に出向のチャンスが与えられ、宮城ブロック協議会、東北地区協議会、日本青年会議所ひいては国際青年会議所にそれぞれのステージでJC運動を実践することができます。私も日本JC、宮城ブロック協議会に出向経験があり、多くの学び、素晴らしい仲間に出会う事ができました。全国の同志には、多種多様な価値観を持ち、物事を色々な角度から捉えることができる素晴らしいメンバーがたくさんいます。多くの刺激を受けて、学び考え、一緒に汗を流した全国のメンバーに感謝し、経験したこと、学んだことを自分が所属するJCに、家族に会社にそして地域事業に反映させることが大切です。出向で結ばれた友情は、一生の“たから”になるはずです。
また、JCの機会の一つに各種大会に参加できる権利があります。国内では京都会議から始まり、ブロック大会、サマーコンファレンス、地区大会、全国大会。国外では、JCI-ASPACそして世界会議。このほかにも時代を反映し、その先の未来へとつながる数々のフォーラムやセミナー等が充実しています。この機会をメンバーには“学ぶ”という姿勢で参加頂き、一つでも気づきや学びを家庭に会社に地域に持ち帰って、自分自身の糧にしてください。
東日本大震災発災後、全国各地のJCメンバーよりたくさんのご支援を頂きました。発災直後から、支援物資を届けてもらい、復旧活動にもご協力頂きました。被災地に向かう道中は、交通機関も麻痺していましたし、本当にご苦労されたと察します。それでも出向で育まれた友情と被災地を助けたいという熱い気持ちで、困難を省みず支援活動に来て頂きました。言葉では言い表せない、本当にありがたい行動でした。同じJAYCEEですが、「JCは凄い」と心の底から思った瞬間でした。塩釜JCメンバーはもちろんのこと、地域の方々も彼らを決して忘れる事はないでしょう。これも、諸先輩方や現役メンバーが以前出向で培ってきた“仲間”と育んだ友情の証です。
本年、日本青年会議所に役員として一人のメンバーが出向いたします。彼は、とても厳しい環境に自ら飛び込み、愛する日本の為、地域の為そして塩釜JCを今以上に素晴らしい青年会議所にするために、気概と覚悟を持って参画しています。彼が持ちかえってくる学びや気づきをメンバーに伝えていただき、そして青年会議所事業、地域事業の一助にしたいと思っています。是非、メンバーのみなさんも自己修練のため、新しい仲間づくりのために積極的に出向してください。1年間の出向というチャンスを逃さず、そこで得た学びをすべてに活かし、自分の財産とも言える友情を精一杯育んでください。
【意気あふれ、活気に満ち溢れたまち】 2010年代運動指針に、「自立」と「共助」が、「明るい豊かな社会」を創造する際の問題解決の鍵であると綴られています。「自立」とは、国家における主権者として積極的に民主主義のプロセスに参画し、経済活動や環境の整備等を通じて社会的役割を果たす、即ち公共の担い手であることです。「共助」とは、様々なコミュニケーションを通じて互いが存在を認め合い、刺激し合い、競い合い、励まし合い、助け合い、共にたくましく「生き抜く」ことです。「自立」を前提として「共助」の精神も大切にしていくことが、「明るい豊かな社会」の実現に向けて効果的なアプローチと記されています。
我々一人ひとりが、地域のリーダーとして「行動」し、未来を見つめながら、意気あふれ、活気に満ち溢れたまちに向けて、様々なJC運動を展開し地域の人々と相互理解を図ることが必要です。
塩釜JCには、素晴らしい継続事業があります。諸先輩方が地域の方々と共に作り上げてきた「塩竈みなと祭陸上パレード」、初回開催時より、悩み考え、自分たちを信じ、育んで携わってきた方々の思いが詰まっている「みなとのまち100km徒歩の旅」、まちの“たから”を保存から活用へ進化させるべく「アラハバキの灯」といった、まちづくり・青少年育成を目的とした事業を展開しています。どれをとっても、地域や行政の方々から認められ、称賛頂いています。しかしながら、これらの事業は継続することが目的ではありません。その時代に反映した、地域から求められる事業を行っていくことがJC運動であり、色々な形で表現し、素晴らしい未来を描きながら運動として、この地域に展開する事も視野に入れて準備していく時期かもしれません。そのためには、地域の現状認識をしっかりと行い、地域の人々、ご協力頂く行政または各種団体の“声”を聴き、「この地域に必要なのか」を把握し理解することで事業の本質を探究していくことが重要と考えます。JAYCEEが地域に根差した公益活動を展開し、素晴らしい未来を思う青年として情熱と気概を持って生き生きと活動し、地域から求められる運動を展開することが、人々から笑顔溢れ、さらなる活気に満ち溢れた「まち」につながるのです。
【公益団体として】 2013年、社団法人塩釜青年会議所から「公益社団法人塩釜青年会議所」として新たなスタートの年となりました。2007年より公益法人格取得の勉強会を始め、2009年にはプロジェクトチームを編成し、公益法人格取得に向けて取り組んでまいりました。改めて、取得に向けて携わって頂いた諸先輩方やメンバーに感謝いたします。しかし、「取得」がゴールではなく、この地域から求められる団体として、「継続」していかなくては取得した意味がありません。公益法人格を取得し、「公益性」を追求するあまり、我々の活動に縛りが出てくることは否めません。もしかすると、JC以外の団体でもできることかもしれません。しかし、私たちが行うべきはJCにしかできない、全てが地域のためとなる事業です。塩釜JCは紛れもなく公益団体です。公の利益を追求しながら地域にJCとして、相応しい運動を伝播しています。塩釜JCメンバーが、公益団体の一人として、自覚を持ち自らを律し、地域から求められている事を理解した上で、「明るい豊かな社会」実現に向けて日々精進して参りましょう。
【むすびに】 日本JC、2010年代運動指針は、この手紙から始まっています。
私たちはJAYCEEです。
震災後という時代を生きる青年として、愛するこの地域をさらに意気あふれ、活気に満ち溢れたまちにするために、自分自身と向き合い、地域を思い、共に学び、考え、気概と覚悟を持って「行動」しましょう。日々のJC活動の中で、大きな壁にぶち当たる事もあるでしょう。「何故自分だけ」と思う事もあるかもしれません。そんな時こそ、必ず訪れる素晴らしい未来を思い、自分を信じて、仲間を信じて、笑顔を忘れず共に進んで参りましょう。
さあ、未来に向かって行動しましょう。今を生かされている青年としてすべてに感謝し、人々から頼られるJAYCEE、地域から求められるJCとして、意気あふれ、活気に満ち溢れたまちを目指し、勇気ある大きな一歩をメンバー全員で踏み出しましょう。