公益社団法人塩釜青年会議所

2020年度理事長所信公益社団法人塩釜青年会議所

第45代理事長         阿部 眞喜

はじめに

 塩釜青年会議所は、昭和50年9月24日に県内9番目の青年会議所として発足し、翌年の昭和51年6月6日に全国594番目の青年会議所として正式に加入をしました。
 塩釜青年会議所が発足してから35年目を迎えた年である2010年に、私は自ら塩釜青年会議所の門を叩き入会をしました。当時の私は家業とは違う仕事をしておりましたが、塩竈で生まれ育ち、塩竈で生業を立てる家系に生まれた事で、ふるさとのために活動をしたいと決断し入会しました。
 まだ24歳であり社会人としても若さゆえ未熟で、先輩諸兄から時にご指摘をいただいたことも多数ありました。しかし、地域のために活動する多くの諸先輩や同期の皆様に感動を覚え、認めてもらいたい一心から休むことなく、多くの仲間に支えられ活動してまいりました。
 私も多くの学びの機会をいただいてきました。役職が変われば立場も変わり、毎年学びをいただけることへの喜びを感じ、時には朝方まで議論し、時には涙し、活動をしてきました。本気で向き合ってきたからこそ、心と心が繋がり、共に感動を分かち合うことができました。
 青年会議所は最後の学び舎と言われます。塩釜青年会議所で学んだ、そっと手を差し伸べる優しさや連絡を取ると駆けつけてくれる仲間の友情が、今日の塩釜青年会議所の活動を支えてくれております。誰にでも、手を差し伸べる事ができる優しさを持ち、人のため、地域のために行動するために、今我々ができることを共に議論し、地域の未来のために行動してまいりましょう。我々は、脈々と受け継がれてきた塩釜青年会議所の奉仕・修練・友情の三信条を基に市民意識の変革に向けて活動してまいります。

45年の歩みと新たな未来へ

 塩釜青年会議所が発足し45年目を迎えます。45年目を迎える事ができたのも多くの先輩諸兄が地域のために行動し、行政や市民の皆様の信頼を得て活動してきたからであると言えます。その意思を受け継ぎ、時代に合わせた市民が求める事業を展開し、地域のたからである子供達に自らが住むまちに、より興味を抱いていただくことは我々の団体としての価値をより高め、さらなる年輪を重ねていくことに繋がると言えます。
 我々にしかできないこと、JC だからこそできる事業を実行し、市民に運動として伝播していくことで、先輩諸兄から受け継がれた塩釜青年会議所の心を次代へと繋いでいきましょう。
 2015年に作成した創立40周年運動指針には、10年間我々が活動をしていくための道しるべとなる内容が記されております。今年5年目を迎え、我々の活動エリアである二市三町も当時のまちよりも東日本大震災の復興が進み、まちの状況も変化をしております。さらなる飛躍をしていくためにも、今一度時代の流れを読み取り、創立40周年運動指針の調査を行い、我々が進むべき道を再確認することで明確なビジョンを持ち前進していく事が必要です。一度立ち止まり、過去を振り返ることも大切です。そして、我々は前を見て新たな大きな一歩を踏み出すのです。青年らしく挑戦し続けることでさらに地域から負託を受ける事ができる団体へと進化をしてまいりましょう。
 我々は市民意識の変革団体であり、時代の変化に柔軟に対応し、次代へとバトンを渡していく事が必要です。そのためにも、我々が地域に寄り添い、より必要とされる団体となれるよう力を結集し、加速度をつけ50周年に向かっていくための一年としていきましょう。

全員で行う会員拡大に向けて

 会員一人ひとりが新たな原石を見つけ塩釜青年会議所の魅力を伝え一丸となってきたからこそ、毎年、多くの会員を迎え入れることに成功を続けてきました。私も多くの知人や友人に入会をいただきました。すぐに首を縦に振ってくれた仲間もいますが、何年もかけて入会に漕ぎ着けた仲間もいます。また、入会に至らなかった方もいるのも事実です。しかし諦める事なく、我々が真剣に青年会議所の素晴らしさを伝える事は必ず相手の心に響くはずです。会員の拡大を他人事と捉えず全会員で取り組む拡大運動を展開していきましょう。
 毎年多くの会員を迎え入れてきた塩釜青年会議所ですが、多くの卒業生がいる事や退会者がおり、創立40周年運動指針で掲げた目標とする会員拡大をしていく努力が今まで以上に必要です。そのためにも、会員一人ひとりが会員拡大への意識を常に持つことが必要です。共に活動する会員が増える事は、塩釜青年会議所の新たな力となります。一人では出来ないことも仲間がいるからこそ越えていける事があります。互いに切磋琢磨できる環境を作るためにも、新たな会員を迎え入れましょう。しかし、入会がゴールではありません。私も入会当初は誰と話して良いのか、会員の名前も分からぬまま活動に参加をしていました。しっかりとしたフォローを行うことと青年会議所の意義を伝えていく事が必要です。自分達が入会してきた時の、初心の気持ちを忘れる事なく、我々から声をかける事が会を強くする一歩となるでしょう。新たな力は会に新しい風を吹かせ、我々に刺激を与えてくれます。心が通じ合う仲間を迎えいれた塩釜青年会議所はより強固な団体へと進化をしていくのです。入会してくれた仲間にしっかりと寄り添うことで信頼関係を築きあげ、塩釜青年会議所はさらに力強い団体となっていくことでしょう。そのためには、担当委員会が行う会員拡大ではなく、塩釜青年会議所全体で行う会員拡大に取り組んでいきます。

地域と共に取り組むまちづくりに向けて

 我々が住む地域にも地方が抱えている諸問題が押し寄せてきております。東京一極集中による若者の地方離れからくる人口減少や少子化問題による高齢化など地域が取り巻く現状は決して平坦な道ではありません。日本国としても多くの対策を打ち出し地方創生に向けて取り組みを行ってきております。自治体が行えること、各種団体ができること、企業ができることを共に探求し、連携することで、役割を持ち解決に向けて進んでいくことが必要です。地域の将来を明るい未来へと導くことができる JAYCEE と成長することは団体の成長にも必ず繋がっていきます。そのためにも、地域の活性化に繋がる学びや事業を展開していきましょう。
 45年の歴史の中で、塩釜青年会議所は時代の先を見据え多くの事業を手がけてきました。継続し行っている事業もあれば、他団体に移管をした事業もあります。地域を担う青年世代として、時代の変化に伴い、市民が求める事業を行っていく事は青年会議所活動の魅力の一つです。事業は塩釜青年会議所の運動の最大の発信の機会です。市民を巻き込み参画いただく事で郷土愛の醸成に繋げていきましょう。
 我々が行っている事業には、長い歴史がある事業があります。その事業は諸先輩方が悩み、苦しみ、汗をかき、繋いでこられたからこそ、市民が求める事業へと成長を遂げて継続してきました。東日本大震災の際にも、中止をする事なく開催をしてきました。その結果がふるさとイベント大賞第1回内閣総理大臣賞の受賞の一助となりました。我々は、この地域に根付く誇りある事業の歴史の1ページに刻み込まれる者として、参画する市民を増やし将来に繋いでいく事が必要です。また、子供達の成長の機会ともなっており、高学年の子が低学年の子に教える事で伝統を引き継いでおります。子供達が故郷を思う気持ちの醸成となるように事業を展開していきましょう。
 東日本大震災以降、まちの状況は大きく変化をしてきました。復興事業や産業構造の変化に伴い、事業の構築をしていく中で難しい状況にあった事業があります。現在は、他団体の皆様と青年会議所が寄り添い合う事で、事業の構築に向けて毎年形を変えながらも成長しております。市民の参画方法に関しても、良いものは残し、悪いものは新たな形に変えていく事で、多くの市民に参画いただいております。我々は、事業を通し、寄り添う事で心と心を繋ぎ、事業を成功に導いてきました。今後は、参加される皆様と今まで以上に心が通じ合う事業へと進化させていくことで、将来に繋いでいく事業となるはずです。
 私も2人の子供を育てる親として考えることは、子供の可能性を広げてあげることは親の責任であるということです。地域のたからである子供達に対し、多くの機会を提供し、成長の機会を届けてあげる必要があります。我々が示す大人の背中は必ずや子供達に届くはずです。現代社会において、子供達が必要としていることは何かを探求し、解決に導いていく一助となる事業を考え、地域に発信していきます。
 事業には、郷土愛の醸成や地域のたからの発掘など必ず意味があります。今一度自分たちが行っている事業の意味を理解し、運営していく事で、より青年会議所活動に力を入れてください。事業は一人ではできません。寄り添い合う事で事業は成功へと進んでいくのです。

会の下支えを行う総務広報活動について

 塩釜青年会議所は社団法人格から公益社団法人格へと移行し2度の県の監査を受けてきました。公益社団法人格を得たことでより市民の皆様から信頼ある団体へと進化を遂げてきました。私も総務・情報委員会を経験し、公益申請を行ってきました。申請の初年度ということもあり苦戦をした記憶があります。これからも、事業の一つひとつに公益性を持ち、事業を展開していくためにも、公益性を保つように会計処理や提出書類に関するマニュアルを作成し、運営していく事が必要です。また、公益社団法人格をもつ団体として透明性を保つ為に、総会資料の作成や議事録作成など会の運営を支える作業に関して、心を込めて行う事が必要です。
 これからも青年会議所として、青年らしく溌剌とした意見が飛び交う会議をし、地域を思う気持ちが醸成させる理事会にしていく事が必要です。会議が気持ちよくスムーズに行えている裏には、担当委員会の支えがあります。会議に臨む姿勢も感謝の気持ちを抱き真剣に取り組んでまいりましょう。
 また、塩釜青年会議所の活動の発信をしていく事は必要不可欠です。ホームページや SNS の活用をしていく事で、塩釜青年会議所が真剣にまちのために取り組んでいる姿を伝えていく事が必要です。しかし、SNS は運用を間違えると積み上げてきた信頼を一瞬にして、崩す事ができるツールでもあります。使用方法を間違える事なく我々の最大限の発信を行うことを目指します。

新たな出会いと機会のために

 青年会議所には、多くの成長の機会があり、そのチャンスが誰にでも平等にあります。しかし、そのチャンスを掴みとるかは自分次第です。その1つが出向です。私も、東北地区や宮城ブロックに出向をしてきました。その度に、多くの学びを得る事が出来たと同時に、新たな友情を育んできました。是非、チャンスを掴みとり、チャレンジする事で、自らの固定概念をチェンジしてください。必ずや自分の将来の青年会議所生活に役に立つはずです。
 そして、近隣の LOM との交流では、お互いに学びを得る事でお互いの存在を認め合い成長してきております。まちの特色を活かした学びは気付きを提供し、明日への活動への一翼となっております。今後もお互いを良き仲間であり、ライバルであると認め、手を取り合い活動していく機会としていきましょう。
 また、塩釜青年会議所は塩釜市青年四団体連絡協議会に所属をしております。同年代の切磋琢磨する仲間と意見を交わし、まちの事業を共に展開しております。お互いが認め合い、寄り添う事でまちに光を灯します。我々は同じまちに生きる同志なのです。お互いの事業に参画し合うことは友情を育む絶好の機会です。まちは我々だけでは、形成されません。寄り添い合う事が必要なのです。

結びに

 東日本大震災の発災から8年10ヶ月が経過をし、まちは震災以前の姿を取り戻しつつあります。あの時に、手を差し伸べてくれた全世界の皆様に感謝をすると共に、我々に寄り添ってくれた優しい心は今も我々の心に暖かな温もりを持ち存在しております。
 寄り添い合うことで互いを思いやる心が醸成され、今までよりも前に踏み出す勇気へと変化を遂げていきます。