公益社団法人塩釜青年会議所 2017年度理事長所信

公益社団法人塩釜青年会議所

第42代理事長         深谷 晃祐

【はじめに】 私が、公益社団法人塩釜青年会議所(以下塩釜JC)に入会するきっかけは、平成19年の多賀城市議会議員選挙初当選と同時にやってきました。それまでは、名前を聞いたことはあるものの、どんな活動をしているのか、どんな仲間がいるのかさえ分からず、流れのままに入会しました。そして、入会4年目の平成22年に初委員長の職を務めた際に、自分が多くの会員の一人だという自覚が欠けていたことで失敗したこともありました。当時は、私のとった行動がなぜ間違っているのかさえも気付けませんでした。今ならその答えが理解できます。これは、組織の一員としての自覚があるか否かの問題です。当たり前のことが当たり前に出来なかったから叱られたという単純な話です。そんな私を成長させてくれた団体が塩釜JCです。青年会議所は、人生道場だと言う先輩がおります。それは、時には結果よりも過程の評価に重きを置く、そんな仲間の集う素晴らしい場所だからに他なりません。しかし、各県各地青年会議所との交流や熱心に会議を重ねたにもかかわらず、集客の少ない事業等、存在意義に対して疑問を感じる場面も多数ありました。その都度、その疑問符に言葉や行動で示して下さったのは、42年の歴史を繋いでくださった先輩諸兄であります。脈々と培われた歴史を、先頭に立って繋げる役目を頂いたことに敬意を表しながら、この地域に住まう多くの方々と共に手を携え、勇気と情熱を胸に歩んで参ります。

【元気な二市三町(ふるさと)づくり】 少子化・高齢化による人口減少社会は、すでに直面しているこの国の最重要課題であります。これらは、職住分離による、核家族化の進行と、物質的豊かさを文明発展の名の下に追求し続けた結果であります。明るい未来を語るなら、日本人が古くから大切にしてきた伝統や文化の歴史を紐解き、照らすことで、この地域は元気を取り戻すと確信しています。青年会議所の存在は、戦後の焼け野原に立ち、日本再建は我々青年の使命であると、心に強く誓ったあの時から繋がっていなければならないのです。その延長線上に身を置く我々には、震災後という今の時代と、これからの未来を担う子供たちの為に、時代を繋ぐ役割があるのです。この国を憂い、この地域に想いを馳せ、元気な二市三町を創造していくことは、愛する母国日本の元気を発信することにも繋がると確信しております。本年で8回目の開催となるアラハバキの灯とは、遡ること約1300年前、当時の先住民である蝦夷を制圧する為に、大和朝廷が軍事拠点として鎮守府を設置した多賀城政庁を舞台とします。まさに、現代の手法を用いて、古より伝えわる文化を発信出来る機会であります。  また、我々には、戦後間もないころに始まった、日本三大船祭りに数えられる塩竈みなと祭りという伝統文化継承の一翼を担う機会に恵まれております。鹽竈神社に関わる全ての方々と、塩釜JCの先輩諸兄が脈々と繋ぎ続けた事業を継続出来ることに感謝しながら、これまで以上の様々な企業や市民を巻き込み、意識的に関わりを造ることで賑わいを創造し、この地域の元気を発信する、前夜祭と第70回塩釜みなと祭り陸上パレードを展開します。その活動に汗する我々の姿勢が、このまちの未来を明るく元気にする青年会議所運動なのです。

 また、この二市三町には、歴史的に日本でも数少ない宝が多数あります。本年は伊達政宗公生誕450年という歴史的タイミングを迎えることもあり、この地域の歴史を再認識する良い機会であるのは言うまでもありません。伊達政宗公の菩提寺である、松島青龍山瑞巌円福禅寺があります。そして、多賀城市市川地区には日本三大国府の一つ多賀城政庁跡、その隣には天照大神のご両親が祀られた多賀神社、そして神武天皇の母君が祀られたとされる貴船神社、今やパワースポットとしても有名な鹽竈神社など、まだまだ日の目を見ることの少ない地域の宝が眠っているのです。これら地域の宝を繋ぎ合わせることで生み出されるポテンシャルは他の地域に引けをとらず、素晴らしい魅力に繋げることが出来ると確信しております。塩釜JCの活動エリアをフルに活用し、老若男女問わず、地域の魅力を感じて頂く二市三町を舞台に新たな事業を立ち上げます。他団体との協力を惜しまず、歴史や文化の魅力を全力で発信します!そのことによって、多くの市民がこの地域に誇りを持ち、『生まれてよかった・育ってよかった・住んでよかった』と感じることに繋がるのです。

【会員拡大と切磋琢磨】塩釜JC諸君には、この地域で一番誇れるもの、と誰かに尋ねられた時に、力強く答えてもらいたい。

 誰からも『塩釜JCです』と言ってもらいたい。この地域の誇りと言われるようになりたい。その為に、時には大切なものを犠牲にしてでも、求められるもの全てに参画しなければならないのです。市民意識の変革を促すには、行動で示すしかありません。自らの利益よりも他が為に行動出来る団体が塩釜JCだと自負しております。そして、様々な研修を通して学ぶJAYCEEがいるから、青年会議所があるのです。行動を共にする新たな仲間が増えることこそが、存在意義を示す一番の方法であると確信しております。結の精神で紡がれた共同体から、一人で活動出来ることが増えたことにより、何かに属すという大義が薄れていったように感じます。我々は、『明るい豊かな社会の実現』という目的達成に向かって活動する青年経済人が集い、「修練」「奉仕」「友情」の元に運動を展開する崇高な団体であると自負しております。全国的には、景気上向きの不透明感による市場や、大企業の不正による信用不安、それに伴う中小企業の景気悪化などの社会的要因により、会員数は減少の一途を辿っておりますが、塩釜JCにおいては、ここ数年増え続けております。この団体の持つ最高の魅力は何といっても利他の精神溢れる人財であります。ここでしか出会えない仲間と、ここでしか味わうことの出来ない経験があります。出会った仲間の成長を喜び、時には助け合い、時には涙を流すかもしれません。その経験こそが、自身を成長させる糧となるのです。その出会いを待っている仲間が、この地域にはまだまだ沢山いるはずです。みんなで手を携え、新たな同志に出会えることを喜びと感じながら行動して参りましょう。そして、互いに切磋琢磨し合い、地域を牽引するリーダーとなるべく行動して参りましょう。

【経世済民を意識した青年経済人】 「16.3%」これは、日本における子どもの相対的貧困率の数値です。言うなれば、この国の子どもの約6人にひとりが貧困状態にあるということです。相対的貧困の定義は、家庭の可処分所得が122万円以下の家庭であり、一般的な家庭のモデルである両親と子ども二人の家庭で、可処分所得は244万円以下という家庭が食べるには困らずとも、子どもの習い事を含めた公教育以外での、いわゆる情操教育(習い事等)を受けられる環境には無いということです。これが、地域を構成する人が育まれる、家庭という社会の基礎単位の現状であります。この地域の人々の心が元気であることは、『明るい豊かな社会の実現』に貢献する大切な一歩であります。同時に、家庭や会社といったそれぞれの基盤を維持し続けなければ、青年会議所が発信する運動には重みと説得力に欠ける中途半端な活動になってしまいます。まずは、責任ある大人として、愛するべき家族や社員を守れる青年経済人であり続けて下さい。

【出会うことで成長する!!】青年会議所には、40歳で卒業という一つの区切りがあります。それぞれの人生の中で、この青年期に何を為すべきかを本気で考え抜いた時、自身の成長を誰かと比較することで劣等感を感じることがあるでしょう。自分自身を成長させる経験をどこで手に入れるのかは各々に選択肢があります。そんな中で、青年会議所という学び舎を選んだ会員諸君には心から敬意と感謝を込めてこの言葉を贈ります。

『唱道のひと多かれど、行道のひと少なし。』

知り得た知識を唱えるだけのひとは沢山います。しかし、それを行動に移せるひとは一握りであります。我々JAYCEEも、行動の人にならなければならないのです。
なぜならば、青年会議所では妥協なき計画と行動の中で時には失敗もしながら成長するという機会が与えられるからであります。同時に、自らが望めば日本はもとより、世界に羽ばたき知識と経験、そして同志との出会いの機会が与えられます。自身の成長が塩釜JCの発展に貢献し、塩釜JCの発展が地域を元気にする源泉であると考えることから、積極的に出向というチャンスを掴もうではありませんか!

【公益団体として】 公益=不特定多数のためと言う人もいますが、公益の本質は、自分の為、自分たちの為ではなく、その活動を必要としている人や自然や文化、歴史などの為に行うことです。
自分や自分たちがしたいことではなく、求められていること(ニーズ)に基づいて行うからこそ、共感する人が集まり、様々な協力が得られる輪が広がるのです。同好会と公益団体との違いは、その目的が「自分たちのやりたい」を満たすことか、それとも「社会に求められる」を満たすことなのかにあります。

『明るい豊かな社会の実現』に、一歩でも駒を進める為に、我々の活動を多くの市民に理解してもらう努力を惜しんではなりません。理解が深まることで市民を巻き込んだ運動を広めることが出来るのです。公益社団法人塩釜青年会議所としての責務に理解を深め、円滑な組織運営が出来るように努めなければなりません。

【結びに】 塩釜JCは2015年に創立40周年を迎えました。その年まで受け継がれて来た思いを進化させ、次の世代へ繋げる為に発信された思いを記します。

御恩に報いて、感謝を忘れず、常に他を思いやり、当たり前を当然とは考えず、感謝の心を持って徳を積み続ける元気な姿勢を地域の人々に示し続けることで、街が変わると信じ、青年会議所の三信条である「修練」「奉仕」「友情」を胸に、『明るい豊かな社会の実現』に向けて走り続けます。