公益社団法人塩釜青年会議所 2016年度理事長所信

公益社団法人塩釜青年会議所

第41代理事長         安住 陽一

1975年12月7日公益社団法人塩釜青年会議所(塩釜JC)が誕生し、昨年40周年を迎えました。愛する我がまちの「明るい豊かな社会」の実現を目指し、先輩諸兄が「英知」「勇気」「情熱」を持ちつづけ、その精神を脈々と受け継ぎ、さらには地域の方々に必要とされてきたからこそ40年間運動を継続することができました。さらに今年はあの甚大な被害をもたらした東日本大震災から5年目を迎える節目の年でもあります。震災後と言われる今、地域を牽引するのは責任世代である我々青年の使命であります。一人の人間として生かされていること、我々の活動が地域に必要とされていること、様々なものに感謝し、『夢』溢れる二市(ふる)三町(さと)の創造に向けて41年目の新たな一歩を踏み出さなくてはなりません。

【はじめに】2011年3月11日14時46分東日本大震災が発災しました。マグニチュード9.0の大地震、そして10メートルを超える大津波が、私たちのかけがえのない地域にも容赦なく襲い掛かりました。多くのものが奪われ、人々はこれから自分たちの未来がどうなるのかさえ分からなくなりました。私も自宅、会社、店舗が被災し未来に不安を感じていた被災者でした。しかし、発災直後からJCメンバーはいち早く人命救助、炊き出し、給水活動、泥掻き、支援物資の配布など、その時々の状況に応じて市民のために自分たちに今何ができるのか?何をしなくてはならないのか?を判断し、最善と思われる行動をとってきました。これは当時行政でも他のどの団体にも真似できないネットワークと行動力があったからこそできました。さらにはその経験が近年様々な地域で起きている異常気象などによる災害時の支援活動に活かされています。自らが困難な状況に直面していても、他が為に汗を流す。私はそんなJCメンバーの一員であるということに誇りを持っています。今年はその東日本大震災から5年目という区切りの年を迎え、私たちのかけがえのない「まち」が、輝く未来へ向かっていく為にも、次代を担う私たち責任世代が成長し行動していかなければなりません。

【JAYCEE】近年全国的に会員減少問題が顕在化し、我々塩釜JCも例外ではありませんでした。しかし、ここ数年会員拡大に力を入れ、今年は56名でスタートすることができます。昨年策定した創立40周年運動指針では5年後の2020年までに会員数目標を100名と掲げました。運動を伝播していく一番の方法がJCの理念に共感し一緒に活動してくれる仲間を増やすことです。人は人によってしか磨かれません。我々と共に活動しこれから地域のリーダーになる未だ見ぬダイヤモンドの原石を一人でも多く拡大し、同じ志を持った仲間に磨かれ成長することで、組織として存続・成長し続けます。
しかし、急速に会員が増えたことにより、入会3年未満の会員が全体の半数を占めるようになりました。様々な事業を行っている我々が地域の人々を牽引していくために「自らを律し、そして他がためへ」という精神と、純粋な正義感が溢れ、JCプロトコルを理解・実践することで、地域に必要とされ、尊敬される人材へと成長していきます。そして、自分たちの足元を固め、組織としての土台をしっかり作ることで、地域に必要とされる団体へと成長していきます。私たちJCは修練・奉仕・友情のJC三信条のもとに活動しています。修練で不断の自己研鑽を通じ能動的に社会参画することで「生き抜く力」を醸成し自己を磨き、「生かされていることへの感謝」をしながら地域に根差した奉仕活動をし、それらの活動をする中で友情が育まれます。一人ひとりが、仕事を通じてプロとして培ってきた経験やスキルを発揮しながら、社会に関わり、課題・問題解決につながる成果を生み出しながら社会貢献していく、この「プロボノ」をまずは私たちが理解し実践することで、その精神を市民自ら抱くことができる社会こそが青年会議所が創造すべき「明るい豊かな社会」です。
2040年消滅可能性自治体として我々の活動エリアである二市三町のうち一市二町がリストアップされています。人々がその地域で生活しているからこそ「まち」として成立しています。私たちが今住んでいる地域が消滅してしまったり、商売できる規模でなくなってしまったら、事業をやめるか他のところに移るしかありません。つまり私たちの会社は地域の人々に生かされているのです。JCメンバーには様々な職種の人がいますが、多くのメンバーの会社は地域の企業や消費者を対象として商売をしています。そのことをしっかり認識すれば、おのずと地域のためになるような商品やサービスなど様々なものを提供していくことが必要となります。自らの会社が発展し、雇用がうまれ、住む人が増え、消費が増えることで地域の経済活動が活性化します。つまり会社を成長させていくことが地域を発展させ、地域貢献に繋がります。私たちは青年会議所メンバーであると同時に一社会人です。青年会議所活動は自分の仕事をしっかりと自立させたうえで参画していることを忘れてはいけません。生活基盤がしっかりしているからこそ自利・利他の精神を持ち地域への貢献活動ができるのです。
一人ひとりがJCメンバーとして三信条のもと活動し、さらにJC活動を通じて得た経験や人脈を生かしながら会社を成長させていく、そんな地域を牽引し必要とされるリーダーを育成していかなければなりません。

【まちづくり】「自立」と「共助」これは私たちが青年会議所運動を通じて明るい豊かな社会を創造しようとする際の、問題解決のカギであると捉えられています。「自立」とは国家における主権者として積極的に民主主義のプロセスに参画し、経済活動や環境の整備等を通じて社会的役割を果たす、即ち公共の担い手であることです。そして「共助」とは、様々なコミュニケーションを通じて互いが存在を認め合い、刺激し合い、励まし合い、助け合い、共にたくましく「生き抜く」ことです。「自立」を前提としながらも「共助」の精神を大切にしていく。そのような考え方が社会全体に広がれば、必ずや「真の民主主義国家」実現への効果的なアプローチとなるとされています。
私たちの活動エリアは塩竈市・多賀城市・七ヶ浜町・利府町・松島町の二市三町に亘っています。それぞれの地域に特性があり誇るべき歴史・文化・伝統があります。
塩釜JCには今年第69回目を迎える「塩竈みなと祭陸上パレード」、そして第7回「アラハバキの灯」という継続事業があります。これらの継続事業は先輩諸兄が私たちと同じく地域を想い「明るい豊かな社会」の創造を実現するために連綿と繋いでこられました。我々現役メンバーも先輩諸兄と想いを同じくしながら時代に則した事業としていくとともに、地域の団体と連携をとり、かけがえのない「まち」がさらに輝く素晴らしい事業へと進化させていかなければなりません。また昨年からは新たな挑戦として「塩竈みなと祭前夜祭花火大会」にも共催という形で参画しました。花火には人を笑顔にする力があります。東北の先陣を切る塩竈みなと祭前夜祭として多くの方にお越しいただき、塩竈の素晴らしさを伝えていくと同時に、市民の活力となるような事業に成長させます。また昨年度には40周年記念事業としておもちゃ王国を開催し、まちの未来を絵本という形で次代へつないでいく事業では多くの地域の方々にご参加いただき、一緒に地域の未来を考える機会となりました。今年はまた新たに青少年育成事業として地域の課題・問題を解決し、そして地域を愛し牽引していくリーダーが生まれるような青少年育成事業を実施します。
私たちの事業は与えるだけの奉仕活動ではありません。昨年は塩釜JCが10年間継続してきた「みなとのまち100km徒歩の旅」をNPO法人へ移管し、共催という形で携わりました。これまでも長い歴史の中で移管された事業が数多くあります。JCで作り出した事業は地域に必要とされているならば、我々の手を離れても継続されていきます。これからも我々塩釜JCが新しい可能性を創りだし、市民を巻き込んだ運動を展開していかなければならないのです。そして私たちが市民自ら共助の精神を抱きプロボノを活用して地域の多様な力を引き出す架け橋となり行政・市民・他団体と連携を図り、共に地域の未来をデザインします。

【全国の仲間・成長の機会】全国には697の青年会議所と約35,000名の「志を同じうする」仲間が自分たちのそれぞれの地域で「明るい豊かな社会の実現」を目指し日々活動しています。
そして青年会議所は国際青年会議所・日本青年会議所・全国10の地区協議会・そして47のブロック協議会があり、各地域に存在する青年会議所からの出向者により運営されています。
私も入会してからの9年間で日本青年会議所に2回、宮城ブロック協議会に3回出向させていただきました。何度か出向させていただく中ではじめはもちろん右も左もわからず、失敗や、苦労したことも数多くありました。しかしそれ以上に出向先で多くの先輩や仲間に出会い刺激を受け、背中を見ているうちに「あの人のようになりたい」「あのひとに近づきたい」「あの人を助けてあげたい」そんな気持ちになることが多くなりました。そして多くの先輩や仲間と出会い、そして何よりも二市(ふる)三町(さと)のために共に活動する仲間がいたことが今年度理事長職をお預かりした大きな理由の一つです。
また青年会議所にはJCI世界会議、アジア・太平洋エリア会議(ASPAC)、京都会議、サマーコンファレンス、全国大会、東北地区青年フォーラム、宮城ブロック大会など一年を通して様々な各種大会があります。
各種大会ではJCの運動や、セミナー、地域のたから、様々なことを学ぶことができます。しかしそれは参加しないと得ることはできません。 出向や大会参加のチャンスは誰にでも平等に与えられます。仕事、家庭の事情もあるでしょう。しかし、そこを少し背伸びしてそのチャンスをつかむことが自己の成長に繋がります。「成功するチャンスはみんなに与えられますが、成長するチャンスはそれをつかみ取りにいった者にしか与えられない」のです。ぜひチャンスをつかみ取りに行ってください。このチャンスを活かし、そして成長している姿を職場や家庭、LOMに伝えてください。

【公益団体として】2008年に新公益社団法人法が施行され、我々塩釜青年会議所も2013年に公益社団法人格を取得し、これまで3年間公益社団法人として運動してきました。昨年、3年ごとに定期的に行われる行政監査がありました。これはその団体が公益性を保って活動しているのか、内部の運営が透明性を持ちしっかりと行われているかなどの書類を中心に監査します。その結果、これまで公益社団法人格を取得してから3年間の運営は問題なく行われていることが認められました。公益社団法人格は取ったら終わりではなく、そこから維持・継続していくことが重要であります。また公益社団法人としてどのような運営、運動を展開しているのかを地域の方々に分かりやすく、そして効果的に発信していく必要があります。地域の方々に我々がどのような運営・運動を行っているのかを、積極的に発信することで、興味が湧き、共感していただきそして塩釜JCを認知していただけます。そして私たちが魅力ある地域に根差した運動を実施していくことで、市民を巻き込んだ運動を展開していくことに繋がります。これからも公益性を保ち、透明性をもって会を運営し、効果的に地域に情報を発信していくことで地域に信頼され、必要とされる団体にして参ります。

【結びに】戦後「新日本の再建は我々青年の使命である」と志を持ち日本にJC運動の灯がともりました。今年東日本大震災から5年目の区切りの年を迎え、地域の再興をさらに推し進めなければなりません。地域の再興とは震災時と同じではなく震災以前よりも『夢』があり、活気があり、明るく、住みたいと思えるまちを創ることです。我々には地域の人々、そして未来を担う子供たちに、生きていくための原動力である『夢』を描ける社会を創っていく使命があります。今私たちの地域には様々な団体があり、今までは「JCしかない」と言われていましたが、近年では「JCもある」と言われるようになってきています。しかし今までも、そしてこれからも地域には、市民意識変革団体である我々JCが絶対に必要なのです。私たちの『夢』溢れる二市(ふる)三町(さと)の創造の実現にむけて共に一生懸命活動してまいりましょう!

2010年代運動指針骨子編はこの言葉で結ばれています。我々は「誰のために」「何のために」JC活動をしているのか?その答えは自らの行動の中にしかありません。自らの意識を変革し地域を牽引していくリーダーになった時、地域市民の意識変革、行動へと繋がることが「明るい豊かな社会」の実現へと繋がると確信します。