公益社団法人塩釜青年会議所 2015年度理事長所信

公益社団法人塩釜青年会議所

第40代理事長         志賀 巧基

 1975年12月7日、全国で594番目に承認された公益社団法人塩釜青年会議所(以下塩釜JC)は2015年創立40周年を迎えます。私たちは、これまで本気で行動し地域のため、子供たちの未来のため、苦難を乗り越え様々な事業・運動を展開し、繋げ紡いでこられた塩釜JCに関わる全ての方々に感謝するとともに、これからも地域をより輝かせる団体であることを誓います。

【はじめに】 全国には志を同じくするメンバーが約35,000人おり、697の青年会議所 (以下JC)が、「明るい豊かな社会の実現」という目的達成のために日々、自分たちの地域のよりよい明日をめざして行動しております。
 私は、2003年23歳の時に入会をして以来、多くの先輩諸兄の後ろ姿を見てきました。そこには、一生懸命に地域のために熱き心で行動し、貴重な時間をJC活動に捧げ、汗を流し頑張っている先輩の姿がありました。まさに「自分が」ではなく、「地域が」に主語を変えて行動していたのです。そして、他がために時間を費やし仲間と苦楽を共にして行動できることに喜びや感謝の念までも抱き活動していました。私も委員会に配属され、右も左も分らない中、なんとか仕事や家庭の時間をやり繰りして事業の成功にむけた企画や、連日の準備に奔走しながらメンバー一丸となり事業に臨み成功できた経験は今でも鮮明に憶えております。人のために流した汗は心地よく、今までにない体験と感動があり、私の心もJCに関わったことで意識が醸成され変革されてきました。また、事業に参加した市民の方から、ありがとうと感謝の言葉をいただいた時、目頭が熱くなり溢れ出す涙がとまらないこともありました。私は、本気で行動することで人を感動させられることができ、人の心を動かすような運動をすることで市民の意識変革に繫げられると確信します。
 世界平和を希求し、国の行く末を憂い、明るい豊かな社会の実現を目指す私たちは、本年度一人ひとりが地域に誇りを抱き活気に満ち溢れることができる事業を推し進めて参ります。創始の精神を胸に、これからも塩釜JCは情熱をもって力強く行動することで、この愛する地域を今以上に輝かせていくことが私たち青年の使命ではないでしょうか。

【輝く未来の創造】 創立30周年記念事業で第1回目を開催した「みなとのまち100km徒歩の旅」という事業が、あれから10年を経て様々な課題を克服し地域から信頼され求められる事業になりました。毎年ボランティアスタッフの輩出にご協力を得ている学校関係や行政の支援と市民の皆様からの多大なるご理解があり、地域と共に育んできた事業がNPO法人みやぎみなとまちづくり市民会議へと移管しました。この事例は、積み重ねていく過程で多くの協力者が生まれ、事業が市民の手で創りあげることができる「運動」へと繋がった瞬間ではないでしょうか。今後、塩釜JCはこの事業を見守りながら地域の大人として支援し「地域の子どもは地域で育てる」という姿勢で関わっていきます。
 本年、塩釜JCは創立40周年を迎えるにあたり、39年間の歴史を築き多大なる功績を積みあげてきた先輩諸兄に深く感謝致します。私たちは、今一度過去を紐解き、先輩からの精神を受け継ぎ未来を切り拓く青年として、新たなる一歩を踏み出す決意が必要です。青年会議所は、明るい豊かな社会の実現を目指し、自分たちの愛する「地域」をより輝かせるために新しい目的を創り出し、市民を巻き込んだ運動を展開する団体です。そのためには、愛するこの地域が今後どのように輝いていかなければならないかを改めて考え、地域の声を聴き、現状を知る事で新たな気づきや課題・問題点を探り、それらを解決するための行動が必要です。新しい運動が太陽のような輝きで市民を照らし「地域に誇り」がもてる社会にするために確かな一歩を踏みだします。また、これまでの歩みを振り返り今まで関わってこられた全ての方々へ感謝をすると共に、これからの未来へ向けた我々の思いやまちづくりの将来ビジョンを描き力強く発信し、創立40周年記念式典を開催することで、今後の更なる地域の発展に寄与して参ります。

【私たちの愛する誇れる地域】 毎年、東北の夏祭の先陣を切るお祭り「塩竈みなと祭」が塩釜市で開催されており、塩釜JCでは「塩竈みなと祭陸上パレード」を担当しております。市内の小中学生や企業、団体など多くの市民と共にこの事業を創りあげてきました。このパレードでは「よしこの鹽竈」を音楽にのせて、参加団体は熱心に練習に励み、当日は一生懸命に踊りを披露して進行していきます。この市民参加型の事業では、当日までの参画する市民の関わりかたを大切にした内容の事業構築が必要です。地域のお祭りに参画するという体験から郷土愛が育まれ、開催までのプロセスの中に歴史や文化を伝える取り組みや、市民が笑顔で活躍できるような魅力あるパレードを創ることで、市民一人ひとりが「我がまち」という意識の醸成に繫げます。また、地域の「たから」にスポットをあてた多賀城市で開催している「アラハバキの灯」は今年で6回目を迎えます。継続は力なりという言葉があるとおり、積み重ねから地域の「たから」はより一層、輝きをましていくと考えます。しかし、成長なき継続は立ち止まっているのと同じです。常に市民の声を聴き時代に合った新たな価値を創造し、行政やご協力いただく団体とさらに、連携を取り合いながら地域の「たから」を大切に磨きあげ、今まで以上に「価値」を高める取り組みが必要です。
 この塩釜JCの継続事業は地域に頼られ求められた事業であり「伝統」と「文化」を尊重し、市民が地域に愛着や誇りを抱ける事業を推し進めて参ります。

【塩釜市、七ヶ浜町、松島町及び地域に必要とされる公開討論会の実施】 140年前に刊行された『学問のすすめ』には、「この人民ありてこの政府あるなり」という一節があります。政治の課題は正に、国民自身の課題であり、将来のために一人ひとりが考え責任をもって選択し行動する必要があります。私たちの活動エリアでも毎年投票率は低下傾向にあり、有権者の政治に対する意識は薄れてきております。こういった流れを打破するには、「選択」の大切さを伝えること、立候補者が政治に対してどんな約束を交わすのか、自分たちの未来はどうなっていくのかを考える場が必要です。さらに、新しくインターネット選挙運動が解禁されメールやSNSなどを利用する世代にも、より一層関心を持ってもらえる取組をすることで、市民が政治参画意識を高め、社会を変える投票行動へと結びつく運動を展開して参ります。

【新しい仲間との出会いと地域を輝かせるJAYCEEの育成】 青年会議所は単年度制という特徴があり毎年人事が変わり全員が初めての役職で経験を積みます。その中で、成長の機会が与えられ青年の運動は連続的に繋がっております。入会した時は、「仕事に繋がればよい」「先輩に入会を勧められた」など一人ひとり違った目的があります。しかし、入会した時の目的がいつしか一生懸命に活動をしているうちに自らの意識が変わり、他がために本気で行動できる心、利他の精神が宿り、「明るい豊かな社会の実現」という目的に変わり率先して行動できる人財になっているのです。この素晴らしい学び舎に、私たちは組織の発展と継続を見据えた「志高き同志」の会員の拡大を推し進め、JCの目的・必要性を全メンバーが認識し、一丸となって新たな同志を募っていかなければなりません。
 JCの目指す「ひとづくり」は、まちの中に一人でも多く自立性の高い人を育てていくことが重要なウエイトを占めており、一人ひとりがトレーニングし己を律しながら常に成長することで、地域に貢献できる人財になるのです。JCは様々なセミナーや講演を受講することで得られる成長と社会を開発する実践課程の経験も成長の一つであると考えます。つまり、常に全員が当事者意識をもってJC活動・運動に積極的に関わることでJAYCEEの育成に繋がり地域を輝かせることができるのです。

【進化する魅力ある塩釜JC】 公益社団法人格を取得して2年が過ぎ、厳格な組織運営を行いつつも定款や諸規定の見直しを常に行い、JCの性質に合わせ時代に則した運営をしていく必要があります。また、会の運営をする中で公益社団法人という重い責任をメンバー1人ひとりが持ち自覚をもって行動し、頼られ求められる真に地域から必要とされる進化する魅力ある塩釜JCであり続けなければなりません。さらに、塩釜JCの運動をより効果的に且つ力強く広報していくことで、私たちの存在や取組みを広く市民へ知ってもらう必要があります。事業等の告知だけはなく、開催までのプロセスや検証された報告など「運動を伝える広報」で市民へ情報を伝播します。私たちが魅力ある輝く団体であり続けることは、多くの共感者やご支援、ご協力をいただける企業・賛助会員を募れることに繋がり、より多くの市民を巻き込んだ大きな運動を地域に提供できるのです。そのためにも、会の運営基盤の更なる強化と開かれた組織運営を行わなければなりません。

【青年会議所ネットワークの素晴らしさ】 青年会議所は、国際青年会議所、日本青年会議所、東北地区協議会、宮城ブロック協議会に出向できるチャンスが平等に与えられております。私も出向という機会を数多くいただき、苦楽を共にした多くの仲間が各地域におり、参加すればするほどに自分の成長や友情という財産が増えることを学ばせていただきました。また、各種大会では多くのセミナーやJCプログラムの受講など会員としてのメリットをフルに活かすことのできる機会が数多くあります。自身の成長は、掴み取るもので、待っていては折角のチャンスを放棄しているのと同じです。青年会議所の会員でいられる40歳までの限られた時間を1人ひとりが、積極的に行動すれば成長する機会があるにもかかわらず自身が心のブレーキを掛けてしまい、そのチャンスを無駄にしてほしくありません。頑張れば頑張るほどに青年会議所のネットワークは構築され、価値ある経験と友情が育まれます。全国には、まだ見ぬ志を同じくする仲間達がいることを忘れてはなりません。

【最後に塩釜JCメンバーへ】 日本の青年会議所運動の方向性を示した2010年代運動指針を策定するにあたり中心となった人物は塩釜JCから出向した志高き青年です。

青年らしく明るい夢を描き、論ずることのみに終わるのではなく、力強い「行動」を起こすための指針としてこれらは、掲げられました。
 全ての可能性は人からはじまります。「新日本の再建は我々青年の仕事である」とした高い志からはじまった青年の運動が全国に広がりを見せて60余年、地域のリーダーとして行動する私たち青年は、いつの時代も必要とされています。私たちの創る道には、苦難や困難、時には大きな壁が立ちはだかる時もくるでしょう。しかし、青年としての英知と勇気と情熱をもって、失敗を恐れず果敢に挑戦することで未来は切り拓かれるのです。