公益社団法人塩釜青年会議所 2013年度理事長所信

公益社団法人塩釜青年会議所

第38代理事長         今野洋志

 塩釜青年会議所(塩釜JC)は、1975年愛するわが地域(まち)をより良くしようと志 高き青年達によって大きな第一歩を踏み出しました。以降、諸先輩方は、「明るい豊かな社会」 の実現へ向け、「地域を良くするのは、我々青年の仕事である」という志をもって青年会議所 運動を展開し、37年間の歴史を築き、貴重な経験を重ね上げてきました。東日本大震災で多 くの住民と塩釜JCメンバーが被災し、「震災後」と言われている今の時代にこそ、この素晴 らしい運動を震災からの復興へ向け繋いでいかなくてはなりません。
 この地域を希望に満ち溢れたまちにするという気概と、どんな困難にも立ち向かう覚悟を持 って運動を展開し、次の世代へと繋げて参りましょう。

【はじめに】 2011年3月11日は忘れることの出来ない日となりました。東日本大震災は我々の想像 をはるかに超える甚大な被害をもたらし、我々の住むこの地域においても、多くの命や財産を 一瞬にして奪い去って行きました。そのような凄まじい状況下においても、塩釜JCメンバー は、気概と覚悟を持ち果敢に現場へ飛び込み、発災直後から被災者の救出、給水や支援物資の 運搬など積極的に支援活動を行っていました。
 私は、初期の段階では悔しいながら支援活動ができませんでしたが、数日後に支援活動に合 流できた時には、それぞれのメンバーがそれぞれの役割を理解し、行動している姿を見て、頼 もしく感じ誇りに思ったことを今でもはっきりと覚えています。
 震災から一年半以上が経った今だからこそ、我々青年は、気概と覚悟を持って新たな一歩を 踏み出します。

【気概と覚悟を持って行動する】 東日本大震災後一年半の間に全国各地の青年会議所(JC)メンバーのお力添えを頂きなが ら、復旧復興のための支援活動を行って参りました。発災直後の、救助活動から始まり、生き るための食料や物資の配布、避難所での窮屈な生活から少しでも心を癒してもらうための事業 などと、その時の状況に合わせて支援活動も変化してきました。この地域も徐々に元の生活に 戻りつつありますが、まだ多くの人々が先の見えない仮設住宅暮らしを余儀なくされ、さらに は地盤沈下による浸水の被害など多くのことで苦しめられています。今後の復興支援活動も、 その時の地域の状況をよく見て、何が地域のためになり、何が求められているのかをよく検討 し、行っていくべきだと考えます。
 地域の人々に学びの場や気づきの機会を提供する事業や、メンバーの資質向上を目的とした ひとづくり事業は、希望に満ち溢れたまちの実現を目指すに際して非常に重要な要素だと考え ます。まず、我々メンバーが例会や各種大会において公益社団法人日本青年会議所(日本JC) が提供する様々なプログラムやセミナーに積極的に参加し、自分を磨き己を成長させ地域の 人々へと伝播していくことが重要です。そして地域の人々が意欲的に社会貢献活動に参画する ことができるよう刺激し「自らを律し、そして他がためへ」という精神と純粋な正義感が溢れ るひとづくりが必要です。また、地域の人々や、行政と連携して事業を行う上で、我々JCメ ンバーの行動や言動も注目されていることを忘れてはいけません。どんなに素晴らしい事業を 行っていても、携わっているJCメンバーの行動や言動が社会常識から外れていては、その事 業の効果に説得力が無くなるばかりか、塩釜JC自体にも説得力が無くなってしまいます。  会員の拡大も非常に大切な基本運動の一つです。希望に満ち溢れたまちを実現するためには、 一人でも多くのメンバーでJC運動を発信していくことが必要です。会員の拡大を行うときに 重要なことは、自分の経験を自分の言葉で相手に直接伝えることです。塩釜JCに入会して、 自分はどのように成長してきたのか、どのように地域と向き合ってきたのか、そして自分たち のJC運動で地域がどのように変化してきたのかを新入会員候補者に自分の経験として語る ことです。地域の未来のことを考えてはいるが、行動を起こせていない志高き青年はまだまだ この地域にはたくさんいるはずです。この志高き青年達に自分たちの経験を本気で語り伝えて いくことにより、我々のJC運動に賛同し一緒に活動してくれる青年が必ず増えてくるはずで す。ダイヤモンドの原石である新しい力と共にJC運動をより進化させ、気概と覚悟を持って 共に行動して参りましょう。

【希望に満ち溢れたまちづくり】 この地域における「明るい豊かな社会」とは、一体どのようなものでしょうか。それは、「希 望に満ち溢れたまち」です。日本JCの2010年代運動指針では、「自立」と「共助」が、「明 るい豊かな社会」を創造しようとする際の問題解決の鍵であるとしています。「自立」とは、 国家における主権者として積極的に民主主義のプロセスに参画し、経済活動や環境の整備等を 通じて社会的役割を果たす、即ち公共の担い手であることです。そして「共助」とは、様々な コミュニケーションを通じて互いが存在を認め合い、刺激し合い、競い合い、励まし合い、助 け合い、共にたくましく「生き抜く」ことです。「自立」を前提としながらも「共助」の精神 を大切にしていくことが重要だと記されています。
 我々メンバー一人ひとりが、地域のリーダーとして気概と覚悟を持って行動し、一人の自立 した大人とし、自分を磨き己を成長させていき、様々なJC運動を展開し地域の人々と相互理 解を図ることが必要です。
 塩釜JCには「塩竈みなと祭陸上パレード」「みなとのまち100km徒歩の旅」「アラハバ キの灯」といった、まちづくり・青少年育成を目的とした継続事業があります。この継続事業 は、諸先輩方が地域の人々と共に育ててきた歴史があり、今まで携わってきた全ての人々の思 いが詰まっています。その歴史と思いを受け継ぎながら、更に進化させていくことが大切であ り、地域の人々や行政としっかりと話し合い、連携し、今地域から求められているものは何か を把握し理解することが重要です。「誰のために」「何のために」事業を開催するのかをよく検 討し本当に地域に求められている運動を展開しなければ、より良い効果を生み出すことはでき ません。

【全国の仲間たち】 JCは世界規模の組織です。日本国内においても701の青年会議所、約40,000人の 「志を同じうする」者が、日々それぞれの地域で、「明るい豊かな社会」の実現という同じ運 動を展開しています。そして、このJCという組織は、日本JCと全国10地区、47ブロッ クの各地協議会を通じて繋がり、それぞれの青年会議所からの出向によって支えられています。 出向は、自分の成長に繋がり、それは、自ずと塩釜JCの成長にも繋がっていきます。私も日 本JC、東北地区協議会、宮城ブロック協議会への出向を経験させていただき、多くの学びと、 多くの仲間との出会いを得てきました。出向での経験がなければ今のように積極的にJC活動 に参加していなかったかもしれません。全国各地で活躍している仲間に大きな刺激を頂き、 日々の生活においても大きな影響を受けています。
 我々は震災発生直後から、全国各地の仲間より物心両面に渡り多くのご支援を頂きました。 それぞれの地域においても被害があったにもかかわらず、塩釜近郊のほうが大変だからと、自 分たちのことは省みずに支援に駆けつけてくれました。あらためてJCのネットワークの素晴 らしさと、全国の仲間の熱い友情を感じることができました。今回頂いた支援の多くは、諸先 輩方や現役メンバーが出向の際に育んだ友情が実を結んだ結果です。私も出向で出会った仲間 の友情と励ましに何度も助けられました。
 出向は自分を成長させる大きなチャンスです。それぞれ違った地域、違った環境で活躍する 各地の仲間と研鑽を積み、刺激し合うことで自分を磨くことが出来ます。各地のJCで行って いる事業などの情報交換も行うことができ、我々の行っている事業をより効果的に発展させて いくための大きなヒントを得ることができます。また、出向は全国に多くの仲間をつくる機会 もたくさん与えてくれます。是非みなさんも自己成長のため、仲間づくりのために積極的に出 向してください。出向先では事業等に率先して参画し大いに学び、大いに友情を育んでくださ い。そして、そこで得た経験を塩釜JCに持ち帰り、今後の地域事業、塩釜JCの発展のため 大いに活かしてください。

【公益団体として】 塩釜JCは、常に地域のためになる、地域から求められる事業を行い、地域の未来の子供た ちが誇りを持てるまちになることを願って、37年間その運動を繋いで参りました。
 2008年12月、新公益法人法が施行されました。塩釜JCでは、2007年より勉強会 を始め、2009年にはプロジェクトチームを発足し公益認定取得へ向けて取り組んで参りま した。そして、無事に公益認定を取得することができ、2013年は「公益社団法人塩釜青年 会議所」としての新たなそして大きな第一歩を踏み出します。今日まで公益認定取得に向け取 り組んでくださった先輩方やメンバーの皆様に感謝するとともに、公益団体として、愛するこ の地域の公の利益を追求した事業を行い、地域に求められる団体へと成長していかなくてはな りません。我々メンバー一人ひとりが地域のリーダーとして自らを厳しく律し、希望に満ち溢 れたまちの実現を目指し共に邁進して参りましょう。

【むすびに】 戦後の焼け野原から、「新日本の再建は我々青年の仕事である」という志をもった青年達が 立ち上がりました。それが日本の青年会議所の誕生であり、出発でした。戦後の混乱期の先行 きの見えない時代に、我が国の未来を強く信じてJC運動に灯がともされました。我々も震災 後のまだまだ困難な時代に生かされていますが、愛する地域を震災前よりも素晴らしく、希望 に満ち溢れたまちにするために、気概と覚悟を持って共に進んで参りましょう。今、我々はバ トンを受け取りました。このバトンをしっかりと握り、次の世代へと共に繋げて参りましょう。

日本JCの2010年代運動指針は、この手紙から始まっています。将来、この手紙のよう な希望に満ち溢れた素敵なまちになるように、今から行動し進んで参りましょう。我々、青年 が気概と覚悟を持って、地域の先頭に立ち行動していくことにより、必ず「希望に満ち溢れた まち」が実現すると確信します。